ワンストップ特例が使えないのは、大きく2つの場合だけです。「その年の所得税の確定申告をする人」と、「寄付先が6自治体以上になった人」です。
そして使えなくても損はしません。確定申告で寄付金控除を申告すれば、自己負担2,000円を除いた分は同じように戻ります。慌てて寄付先を減らす必要もありません。
ワンストップ特例が使えない人の一覧
| 条件 | ワンストップ | どうするか |
|---|---|---|
| 寄付先が6自治体以上 | 使えない | 確定申告 |
| 自営業・フリーランス(事業所得がある) | 使えない | 確定申告 |
| 給与の年間収入が2,000万円を超える | 使えない | 確定申告 |
| 給与以外の所得の合計が20万円を超える(副業など) | 使えない | 確定申告 |
| 2か所以上から給与を受け、年末調整されない給与と他の所得の合計が20万円超 | 使えない | 確定申告 |
| 医療費控除を受ける | 使えない | 確定申告 |
| 住宅ローン控除の1年目 | 使えない | 確定申告 |
| 株式の譲渡損益や配当を申告する | 使えない | 確定申告 |
| 申請書が1月10日に間に合わなかった | 使えない | 確定申告 |
| 上のどれにも当てはまらない会社員・公務員で、寄付先が5自治体以内 | 使える | 申請書を提出 |
総務省は、ワンストップ特例の対象を「ふるさと納税を行う年の所得税に関する確定申告を行わない人」としています。つまり確定申告をするかどうかが分かれ目で、ふるさと納税と関係のない理由(医療費控除など)で申告する年も対象外になります。
「6自治体以上」は自治体の数で数えます
5団体以内という条件は、寄付した回数ではなく自治体の数で数えます。同じ自治体に3回寄付しても1団体です。逆に、6つの自治体に1回ずつ寄付すると条件から外れます。
注意したいのは、申請書は寄付1回につき1枚必要だという点です。同じ自治体に3回寄付したなら、申請書も3枚出します。「1自治体だから1枚でいい」と考えると、出していない分が控除から漏れます。
6自治体以上になってしまったら
すでに申請書を出した分も含めて、全件を確定申告に含めるだけです。出した申請書は確定申告をした時点で無効になるので、取り下げの連絡をする必要もありません。手続きの詳細はワンストップを忘れた・1月10日を過ぎたときの手順にまとめています。
会社員でも確定申告が必要になる条件
「自分は会社員だからワンストップでいいはず」と思っていても、次に当てはまる年は確定申告が必要です。国税庁が挙げている条件のうち、ふるさと納税と関わるものを抜き出します。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 給与を1か所から受けていて、各種の所得金額の合計額が20万円を超える人(副業・不動産・仮想通貨などの所得)
- 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与と他の所得の合計が20万円を超える人
- 同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている人
転職した年に前職の源泉徴収票を提出せず年末調整が済んでいない場合も、確定申告が必要になります。年末調整が終わっているかどうかを先に確認してください。
医療費控除・住宅ローン控除と同じ年に寄付した場合
医療費控除や、住宅ローン控除の初年度は確定申告が必須です。この年はワンストップ特例を申請しても無効になるので、最初から確定申告に寄付金控除を含める前提で進めるほうが手間がありません。
すでに申請書を出してしまっていても問題はありません。確定申告書にその年に寄付した全件を書けば、それで正しく処理されます。逆に「申請書を出したから」と確定申告で寄付金控除を書かないと、控除がゼロになります。
「ワンストップに対応していない自治体」はありません
ワンストップ特例は制度として全国共通なので、寄付先の自治体が申請を受け付けないということはありません。「この自治体はワンストップができない」という情報を見かけたら、それはたいていオンライン申請に対応していないという意味です。
マイナンバーカードを使ったオンライン申請は、自治体やポータルサイトが対応している場合に使える手段です。対応していなければ、紙の申請書を郵送すれば同じように特例を受けられます。期限は同じく翌年1月10日必着です。
本人確認書類が用意できない場合
紙の申請には本人確認書類の写しが必要です。マイナンバーカードがない場合は、通知カードまたはマイナンバーの記載された住民票の写しと、運転免許証などの身元確認書類の組み合わせで提出します。必要な組み合わせは自治体の案内に従ってください。ここで書類が揃わないまま1月10日が近づくなら、確定申告に切り替えるほうが確実です。
どちらを選ぶか迷ったときの考え方
戻ってくる金額は同じなので、手間だけで判断して構いません。
- ワンストップが向く人:寄付先が5自治体以内で、ほかに申告する理由がない会社員。申請書を出すだけで完結します
- 確定申告が向く人:もともと申告する予定がある人、寄付先が多い人、申請書の提出が面倒な人。まとめて1回で済みます
寄付先を5自治体に収めるために欲しい返礼品を諦めるのは本末転倒です。確定申告にすれば自治体数の上限は消えるので、返礼品で選んでください。金額から探すなら寄付額から選ぶ一覧が使えます。
よくある質問
ワンストップを申請したあとに確定申告をしたらどうなりますか
申請は無効になります。その年に寄付した全件を確定申告に含めてください。一部だけ書くと、書かなかった分の控除が消えます。
年金をもらっている人は使えますか
公的年金等の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら確定申告は不要なので、ワンストップ特例を使えます。医療費控除などで申告する年は対象外です。
扶養に入っている人や収入のない人はどうなりますか
そもそも所得税・住民税を納めていない場合、控除される税金がないため、寄付しても戻るお金はありません。ワンストップ以前の問題なので、寄付する前に限度額シミュレーションで自分の上限を確認してください。
ワンストップと確定申告で控除額に差はありますか
ありません。ワンストップは本来所得税から引かれる分も住民税から控除する仕組みで、確定申告は所得税の還付と住民税の控除に分かれます。受け取り方が違うだけで合計は同じです。
まとめ
ワンストップ特例が使えるのは、確定申告をしない人で、寄付先が5自治体以内のときだけです。当てはまらなくても、確定申告をすれば控除は同額受けられます。
制度の仕組みはなぜ2,000円で済むのか、申請書の書き方や流れはワンストップ特例のやり方、寄付全体の手順はやり方5ステップにまとめています。
出典
- 総務省|ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ(対象者・5団体以内・申請期限)
- 国税庁|No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)(確定申告をするとワンストップ特例は無効)
- 国税庁|No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(2,000万円超・20万円超の基準)
※2026年9月時点の情報です。個別の判断は所轄の税務署・お住まいの市区町村にご確認ください。