新卒・社会人1年目でも、ふるさと納税はできます。
ただし上限額は、入社した年の1〜12月に稼いだ分だけで決まります。4月入社なら9か月分の給与と、学生時代1〜3月のアルバイト代の合計です。12か月分+賞与で計算される先輩と比べると、上限はかなり小さくなります。
控除は寄付した年の所得税と、翌年度(2年目の6月から)の住民税で受けます。1年目は住民税が天引きされていなくても問題ありません。迷ったら少額から始めるのが安全です。
状況別の早見表
| あなたの状況 | できる? | 上限の決まり方 | 手続き |
|---|---|---|---|
| 4月入社の1年目(学生時代のバイト代は少なめ) | できる | 4〜12月の給与+賞与+1〜3月のバイト代。上限は小さい | ワンストップ特例(5自治体以内) |
| 1年目で、初任給が低め・賞与がまだ出ない | できるが恩恵が小さいことも | 住民税の所得割がほとんど出ないと、控除される税金がない | 寄付は見送るか少額に |
| 2年目(1年を通して働いた) | できる | 12か月分の給与+夏冬の賞与。1年目より上がりやすい | ワンストップ特例(5自治体以内) |
| 6自治体以上に寄付した/医療費控除などで確定申告する | できる | 上の考え方と同じ | 確定申告(ワンストップは使えない) |
| 寄付したあと年内に引っ越した | できる | 変わらない | ワンストップ申請先へ変更届(翌年1月10日まで) |
上限額は「その年の所得」と「各種控除」で決まります。表はあくまで考え方です。金額は限度額シミュレーションで確かめてください。
1年目の上限は「入社した年の1〜12月の所得」で決まる
ふるさと納税は、寄付した年の所得に対してかかる税金から控除を受ける仕組みです。総務省の説明では、所得税はふるさと納税を行った年の所得税から、住民税は翌年度の住民税から控除されます。
翌年度の住民税は、前年1〜12月の所得をもとに計算されます。つまり2026年に寄付した分の控除は、2026年1〜12月の所得で計算される「所得税(2026年分)」と「住民税(2027年度)」から引かれます。上限を決めるのも同じ2026年の所得です。
4月入社なら9か月分しかない
4月入社の新卒は、給与が出るのは4月から12月の9か月です。夏の賞与は満額でないか、出ない会社も多くあります。年収で考えると、同じ会社の2年目の先輩よりかなり少なくなります。ネットの早見表を「月給×12」の年収で引くと、上限を高く見積もりすぎるので注意してください。
学生時代のバイト代も合算する
入社した年の1〜3月にアルバイトをしていたなら、その給与も同じ年の所得です。合計した額で上限が決まります。
このとき、バイト先の源泉徴収票を入社した会社に出すのを忘れないでください。国税庁は、年の途中で就職した人の年末調整では前の勤務先の源泉徴収票などで給与額や源泉徴収税額を確認する必要があり、確認できない場合は年末調整ではなく確定申告で精算するとしています。確定申告が必要になると、後で説明するワンストップ特例は使えなくなります。
基礎控除などは満額で引ける
9か月しか働いていなくても、所得控除が9か月分に減るわけではありません。国税庁は、3月に学校を卒業して4月から就職した人について、月数であん分せず基礎控除や扶養控除などの所得控除の全額が認められると説明しています。所得が少ないうえに控除は満額なので、1年目は課税される所得が小さくなり、その分ふるさと納税の上限も小さくなります。
1年目は住民税が引かれていなくても大丈夫な理由
1年目の給与明細を見ると、住民税の欄が空欄か0円の人が多いはずです。住民税は前年の所得に対してかかるので、前年が学生でほとんど収入がなければ、1年目はまだ天引きされません(学生時代のバイト収入が多かった人は1年目から課税されることもあります)。
「住民税を払っていないのに、住民税から控除されるの?」と不安になるかもしれませんが、心配いりません。1年目に寄付した分の控除は、1年目の所得で計算される2年目の住民税に反映されます。2年目の6月ごろ会社から配られる住民税の決定通知書で、寄附金税額控除の欄を確認できます。
ワンストップ特例なら所得税分も住民税から
ワンストップ特例を使った場合、総務省の説明では所得税の控除分も含めて全額が翌年度の住民税から控除されます。1年目にお金が戻ってくるわけではなく、2年目の住民税が安くなる形です。確定申告をした場合は、所得税分が還付、残りが翌年度の住民税から引かれます。
2026年分は所得税の控除が大きくなっている
国税庁によると、2026年分(令和8年分)の所得税では、合計所得金額132万円以下の人の基礎控除が104万円、給与収入220万円までの給与所得控除が74万円に引き上げられています(2026年12月1日施行で、年末調整で反映されます)。1年目の給与水準だと所得税がほとんどかからない人もいます。その場合、ふるさと納税の控除は住民税が中心になります。
住民税の計算は所得税と同じではありません。ご自身の住民税がいくらになるか分からないときは、お住まいの市区町村の住民税担当に確認してください。
年収が低いと恩恵がほとんどないこともある
ふるさと納税は、納める税金から差し引く制度です。控除される税金がなければ、寄付しても戻るお金はありません。返礼品を全額自分のお金で買ったのと同じになります。
上限の目安は、総務省の仕組みに沿うと「住民税所得割額の約2割+2,000円」です。住民税の特例分は所得割額の2割が上限とされているためです。1年目は所得割額そのものが小さいので、上限も小さくなります。
初任給が低めで賞与もまだない、入社が遅かった、途中で休職した、といった年は、住民税の所得割がほとんど出ない可能性があります。この記事では具体的な金額は出しません。社会保険料や住む市区町村、家族の状況で変わるためです。限度額シミュレーションに、源泉徴収票の見込み額(12月の給与明細や年末調整の結果)を入れて確かめるのが確実です。
迷ったら少額から
上限を超えた分は自己負担になります。1年目は年末まで年収が読みにくいので、見込みの上限より少なめに寄付しておくのが無難です。数千円〜1万円の返礼品なら、超過しても負担は限られます。選び方は5,000円で選べるおすすめや1万円のおすすめ、寄付額から探すなら金額別の一覧を参考にしてください。
手続きはワンストップ特例が基本
年末調整を受ける会社員なら、確定申告をしなくてもワンストップ特例で控除を受けられます。総務省が示す条件は次の2つです。
- 確定申告が不要な給与所得者等であること
- 1年間の寄付先が5自治体以内であること
申請書は寄付した自治体ごとに、寄付した翌年の1月10日までに届くように出します。オンライン申請に対応した自治体も増えています。流れはワンストップ特例の申請ガイドにまとめました。出し忘れたときはワンストップを忘れたら、書き間違えたときは申請のミスと訂正を見てください。
医療費控除などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請は無効になります。確定申告書で寄附金控除も一緒に申告してください。
実家の住所で申し込むとき・引っ越したときの注意
新卒の1年目は、実家から通う人も、配属で一人暮らしを始める人もいます。ふるさと納税で大事なのは、住民票がどこにあるかです。住民税は翌年1月1日に住民票がある市区町村で計算され、ワンストップ特例の控除もそこに通知されます。
- 住民票が実家にあるなら、実家の住所で申し込めば問題ありません
- 寄付したあとに引っ越して住民票を移したなら、ワンストップ申請をした自治体に変更届を出します
自治体の案内(川崎市など)では、寄付した翌年1月1日までに申請内容(住所・氏名など)が変わった場合、寄付した翌年の1月10日までに変更届を出すよう求めています。複数の自治体に申請していれば、その全部に出す必要があります。秋から年末に引っ越しが決まっている人は、寄付を引っ越し後にするほうが手間がかかりません。
また、寄付は自分の名前で申し込んでください。控除を受けるのは寄付をした本人です。親が自分の名義で寄付しても、新卒本人の税金は安くなりません。
2年目は上限が上がりやすい
2年目は1月から12月まで丸1年分の給与が入り、夏と冬の賞与も満額に近づきます。昇給もあれば、1年目より上限が上がりやすい年です。
ただし2年目は、6月から1年目の所得に対する住民税の天引きが始まり、手取りが減ったように感じます。これは1年目分の住民税なので、2年目のふるさと納税の上限とは別の話です。2年目に寄付した分は、3年目の住民税から控除されます。
1年目に寄付していれば、2年目6月の住民税決定通知書で控除がきちんと入っているかを確認しておきましょう。控除の仕組みはなぜ自己負担2,000円で済むのか、寄付の流れはふるさと納税のやり方で詳しく説明しています。
よくある質問
新卒1年目でもふるさと納税はできますか
できます。年齢や勤続年数の条件はありません。ただし上限は入社した年の所得で決まるので、4月入社なら9か月分の給与+1〜3月のバイト代が基準です。所得税・住民税がほとんどかからない年収だと、控除の恩恵が小さいか、ない場合があります。
社会人1年目はいくらまで寄付できますか
一律の金額はありません。目安は「住民税所得割額の約2割+2,000円」です。1年目は所得割額が小さいので、月給×12で計算した早見表より低くなります。12月の給与明細などで年収を見込み、限度額シミュレーションで確認してください。上限の金額別の見方は金額別の一覧にもあります。
1年目は住民税を払っていないのに控除されますか
されます。1年目に寄付した分は、1年目の所得で計算される2年目の住民税(6月から天引き)で控除されます。1年目に天引きがないことは関係ありません。
学生時代のアルバイト代は上限に含まれますか
入社した年の1〜3月に受け取ったアルバイト代は、同じ年の所得なので含まれます。バイト先の源泉徴収票を会社に出して年末調整に入れてもらってください。出さないと確定申告が必要になり、ワンストップ特例が使えなくなることがあります。
住民税がかからないくらいの年収だとどうなりますか
控除される税金がないので、寄付しても戻るお金はほとんどありません。返礼品を自費で買ったのと同じです。自分が課税されるかどうかは、お住まいの市区町村に確認してください。税金を納めていない人のケースは納税していない人のふるさと納税でも解説しています。
実家の住所で申し込んでから一人暮らしを始めたら?
住民票を移したなら、ワンストップ申請をした自治体すべてに変更届を出します。期限は寄付した翌年の1月10日です。住民票を実家に残したままなら手続きは不要です。
まとめ
新卒・社会人1年目のふるさと納税はできます。押さえるのは3つです。上限は入社した年の1〜12月の所得で決まるので小さいこと。控除は2年目の住民税に反映されること。年収が低いと恩恵がほとんどないこともあること。1年目は少額で試し、2年目から上限いっぱいを狙うのが現実的です。個別の事情で判断に迷うときは、税務署やお住まいの市区町村に確認してください。
出典
- 総務省|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について(所得税は寄付した年、住民税は翌年度。特例分は所得割額の2割が上限。ワンストップ特例は全額住民税から)
- 総務省|ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ(ワンストップ特例の要件・翌年1月10日の期限)
- 国税庁|No.2674 中途就職者の年末調整(前職の源泉徴収票、4月就職でも所得控除は全額)
- 国税庁|No.1199 基礎控除(令和8年分の基礎控除)
- 国税庁|No.1410 給与所得控除(令和8年分の給与所得控除)
- 川崎市|ワンストップ特例申請書・変更届書を御利用の方へ(変更届は翌年1月10日まで)
※2026年10月時点の情報です。具体的な上限額は所得・社会保険料・家族構成などで変わります。個別の判断は所轄の税務署・お住まいの市区町村にご確認ください。