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退職・転職・無職・産休の年のふるさと納税【2026年版】上限額とワンストップ特例の扱い

退職・転職・産休・育休の年のふるさと納税は、次の3点で判断できます。

  • 上限額は、寄付した年(1月〜12月)の所得で決まります。働いていない月がある年は収入が減るので、上限も前年より下がります
  • 退職金で上限は増えません。退職金は原則として分離課税で、上限の基準になる住民税の所得割には入らないからです
  • その年に確定申告をするなら、ワンストップ特例は無効です。年末調整を受けずに退職した人は、確定申告の寄附金控除の欄に全件を書いてください

前年と同じ金額を、前年と同じ感覚で寄付するのがいちばん危険です。まず早見表で自分の状況を確認してください。

状況別の早見表

その年の状況 上限額の目安 ワンストップ特例
年の途中で転職し、新しい会社で年末調整を受けた 前職と現職の給与を合計した年収で計算 使える(確定申告をしなければ有効)
年の途中で退職し、年内は再就職していない(年末調整なし) 退職までの給与だけで計算。前年よりかなり下がる 還付のため確定申告をすると無効。申告に寄附金控除を記載
12月に退職し、最後の給与で年末調整を受けた その年の給与全体で計算 使える(確定申告をしなければ有効)
退職金を受け取った 退職金は上限に含めない(原則) 状況による(確定申告をすれば無効)
1年を通して無職・収入なし 0円。寄付しても控除されない 控除そのものがない
産休・育休で一部の月だけ給与があった 給与部分だけで計算。給付金は含めない 年末調整を受けていれば使える
来年退職する予定(今年は通年勤務) 今年の給与で計算。来年の退職は関係ない 使える。控除は来年度の住民税で受ける

上の表は考え方の整理です。具体的な金額は、その年の見込み年収を限度額シミュレーションに入れて確認してください。

上限額は「その年の所得」で決まる

ふるさと納税で控除される税金は、寄付した年の所得税と、寄付した翌年度の住民税です(総務省)。どちらも寄付した年の1月〜12月の所得をもとに計算されるので、上限額もその年の所得で決まります。

住民税の特例分は住民税所得割額の2割が上限です。会社員の上限額が年収でおおよそ決まるのはこのためで、年収が下がれば所得割額が下がり、上限もいっしょに下がります。

転職した年は「2社の合計」で計算する

転職した年は、前の会社と今の会社の給与を合計した年収で上限を出します。今の会社の月給×12で計算すると、前職の給与が抜けたり、逆に入社前の空白期間を見落としたりします。前職の源泉徴収票の支払金額と、今の会社の年内見込みを足してください。

転職の間に1〜2か月の空白があれば、その分だけ年収は減ります。前年の源泉徴収票の金額をそのまま使わないことが大切です。

退職した年は「退職までの給与」だけ

年の途中で退職してそのまま働かない場合、その年の給与は退職月までです。6月に退職すれば、給与はおおむね半年分です。上限も前年の半分程度か、それ以下になると考えてください(所得控除の額によって変わります)。

退職前の勢いで前年並みに寄付すると、上限を超えた部分は自己負担になります。退職が決まっている年は、退職後に見込み年収を計算し直してから寄付するのが安全です。

2026年分は所得税の控除額が変わっている

所得税は、2025年分と2026年分で続けて基礎控除や給与所得控除の最低保障額が見直されました(国税庁)。年収が下がった年は、これらの見直しの影響を受けやすくなります。シミュレーションは2026年分に対応したものを使い、前年に作った計算メモを使い回さないでください。

退職金で上限額は増えません

「退職金をもらった年は収入が多いから、ふるさと納税をたくさんできる」と考える人がいますが、原則としてそうはなりません。

退職金(退職所得)は、ほかの所得と分けて課税され、支払いを受けるときに税金が差し引かれて終わる仕組みです。自治体の説明でも、ふるさと納税の特例控除の上限は「分離課税された退職所得の所得割は除く」とされています(横須賀市)。八王子市も、退職所得は原則として控除限度額の算定に使う所得割額に含まれず、限度額には影響しないと案内しています。

つまり、退職金が2,000万円あっても、上限は退職金を除いた給与などの所得で決まります。退職金で返礼品を多めに頼もうとすると、上限を大きく超えるおそれがあります。

例外があります

源泉徴収の義務がない支払者から受け取った退職金や、退職金を受け取る年の1月1日に国内に住所がなかった場合などは、扱いが変わり限度額に影響する可能性があるとされています(八王子市)。当てはまりそうな人は、お住まいの市区町村の住民税担当に確認してください。

確定申告をするなら退職所得の記載が必要

「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出していれば、退職金の税金は源泉徴収で精算され、原則として確定申告は不要です。ただし国税庁は、寄附金控除などを受けるために確定申告をする場合は、確定申告書に退職所得の金額を記載する必要があるとしています。退職した年にふるさと納税の確定申告をする人は、退職金の源泉徴収票も手元に用意してください。

ワンストップ特例は使える?退職・転職のケース別

ワンストップ特例の対象は、確定申告が不要な給与所得者等で、寄付先が5団体以内の人です。確定申告や住民税の申告をすると、申請はすべて無効になります(総務省・国税庁)。退職・転職の年は、この「確定申告をするかどうか」で分かれます。

転職して新しい会社で年末調整を受けた場合

前職の源泉徴収票を新しい会社に出し、2社分をまとめて年末調整してもらえば、給与の税金はそこで精算されます。ほかに確定申告をする理由がなければ、ワンストップ特例はそのまま使えます。

国税庁は、前職の給与を確認できないときは年末調整ができず、確定申告で精算することになるとしています。前職の源泉徴収票を出し忘れた場合は確定申告が必要になり、ワンストップ特例は無効です。

退職して年末調整を受けていない場合

年の途中で退職し、その年に再就職しなかった人は年末調整を受けられません。国税庁によると、この場合は所得税を納め過ぎていることがあり、確定申告(還付申告)で取り戻せます。

還付を受けるために確定申告をすると、その時点でワンストップ特例は無効です。ワンストップの申請書を出していた分も含めて、その年の寄付を全件、寄附金控除として申告してください。書き漏らすと、その分は控除されません。もし申告に入れ忘れても、国税庁は更正の請求で寄附金控除を受けられるとしています。手順は確定申告を忘れた・漏れたときにまとめました。

退職後に無職で、住民税の申告をする場合

総務省の案内では、確定申告だけでなく住民税の申告をした場合もワンストップ特例は適用されません。国民健康保険の手続きなどで住民税の申告をするときは、寄付した分も一緒に申告してください。どちらの申告が必要かは、お住まいの市区町村で確認できます。

ワンストップが使えないケースの全体像はワンストップ特例が使えない人、申請の流れはワンストップ特例の手続きを参照してください。

無職・住民税がかからない年は控除がない

ふるさと納税は、納めるはずの税金から寄付額を差し引く仕組みです。住民税の控除は寄付した翌年度に行われますが、その年の所得が少なく住民税の所得割がかからなければ、差し引く元がありません。

奈良市は、寄附金控除を適用する前の段階で所得割額が発生しない人(住民税が非課税の人、または均等割だけの人)は控除されないと案内しています。1年を通して無職だった年や、年の初めに退職して給与がわずかだった年に寄付すると、返礼品を全額自己負担で買ったのと同じになります。

失業手当は所得に入らない

雇用保険の求職者給付(いわゆる失業手当)は、雇用保険法の規定で課税されないことになっています(国税庁)。生活費の面では収入でも、ふるさと納税の上限を計算するときの所得には入りません。失業手当を受け取っている期間は、上限の計算上は「収入なし」として扱ってください。

産休・育休の年は給付金を含めない

国税庁によると、健康保険の出産手当金や出産育児一時金、雇用保険の育児休業給付金は、いずれも法律の規定で課税されません。産休・育休の年の上限は、休業に入る前に受け取った給与(と復職後の給与)だけで計算します。

4月から育休に入れば、その年の給与は3か月分程度です。給付金を足して年収を見積もると、上限を高く見誤ります。また、配偶者の扶養に入るかどうかで配偶者側の上限も変わるので、夫婦で寄付する場合はそれぞれ計算し直してください。

育休中でも、年の前半の給与で住民税の所得割がかかる程度の所得があれば、ふるさと納税は意味があります。年末調整を受けていて確定申告をしなければ、ワンストップ特例も使えます。

来年退職する予定の人の注意点

今年は通年で働き、来年退職する予定なら、今年の上限は今年の給与で決まります。来年辞めることは、今年の上限には関係ありません。

今年の寄付分の住民税控除は、来年度の住民税(来年6月から翌年5月までの分)に反映されます。住民税は通常、会社が12回に分けて給与から差し引いていますが、退職すると残りは退職時に一括で差し引くか、納付書で自分で納めることになります(福井市)。徴収の方法が変わるだけで、ふるさと納税で減った税額のまま納めることになります。

注意したいのは来年の寄付です。来年は退職月までの給与しかないので、来年の上限は今年より下がります。今年と同じ額を来年も寄付する予定なら、退職時期が決まった時点で計算し直してください。

ワンストップ申請後に引っ越す・名字が変わる場合

退職を機に転居する人もいます。ワンストップ特例を申請したあとに住所や氏名が変わったら、寄付した翌年の1月10日までに、申請した自治体へ申告特例申請事項変更届出書を出してください(総務省)。翌年1月1日の住所が申請書と違うまま届け出をしないと、特例が適用されません。届け出が間に合わなかったときの対処はワンストップ申請のミスと訂正にあります。

よくある質問

退職後、無職の期間にふるさと納税をしても意味はありますか

その年に退職前の給与があり、住民税の所得割がかかる程度の所得があれば意味があります。判断の基準は「今無職かどうか」ではなく、その年1年間の所得です。1年を通して収入がなかった場合は控除されません。

退職した年に確定申告をする場合、ふるさと納税はどう書けばいいですか

確定申告書の寄附金控除の欄に、その年の寄付を全件入力します。ワンストップの申請をした分も含めます。退職金の源泉徴収票があれば退職所得の金額も記載します。入力でつまずきやすい点は確定申告でつまずく所を参照してください。

転職したらワンストップ特例は無効になりますか

転職そのものでは無効になりません。新しい会社で前職分も含めて年末調整を受け、確定申告をしなければ有効です。前職の源泉徴収票を出せずに確定申告をすることになった場合は無効になるので、申告に寄附金控除を書いてください。

退職金を受け取った年は、ふるさと納税の上限が上がりますか

原則として上がりません。退職金は分離課税で、上限の基準になる住民税所得割に含まれないためです。ただし例外もあるので、当てはまるか分からなければお住まいの市区町村の住民税担当に確認してください。

産休・育休中でもワンストップ特例は使えますか

勤務先で年末調整を受け、ほかに確定申告をする理由がなければ使えます。出産手当金や育児休業給付金は非課税なので、それを理由に確定申告が必要になることはありません。医療費控除などで確定申告をする場合はワンストップが無効になるので、寄付も一緒に申告してください。

上限を超えて寄付してしまったらどうなりますか

超えた分は控除されず、自己負担になります。ペナルティはありませんが、取り戻す方法もありません。上限の仕組みはなぜ2,000円で済むのかで解説しています。

まとめ

退職・転職・産休の年のふるさと納税は、前年の感覚で寄付しないことがすべてです。上限はその年の給与だけで決まり、退職金や失業手当、育児休業給付金は含めません。年末調整を受けずに退職したなら、確定申告で寄付を全件申告します。1年を通して無職なら、その年は寄付を見送るのが安全です。

見込み年収を出したら限度額シミュレーションで上限を確認し、寄付額から選ぶ一覧から上限の範囲で選んでください。寄付の流れはやり方5ステップにまとめています。個別の事情で判断に迷うときは、税務署やお住まいの市区町村に確認してください。

出典

※2026年10月時点の情報です。具体的な上限額はその年の所得と控除の状況で変わります。個別の事情は所轄の税務署・お住まいの市区町村にご確認ください。